作品の魅力
13世紀のモンゴル帝国とその征服下にあった地域を舞台にした歴史ドラマである。トマトスープの漫画を原作とし、サイエンスSARUが制作する。学問を武器に生きる少女シタラの視点から、巨大な帝国に飲み込まれていく人々の姿が描かれる。
あらすじ(ネタバレなし)
シタラは13世紀のイラン東部の街トゥースで、学者の未亡人に引き取られた少女である。血のつながりのない家族のもとで学問の大切さを教わりながら、静かな日々を送っていた。だが、モンゴル帝国の将軍トルイが率いる軍勢がトゥースに侵攻し、シタラは自分を守ろうとした庇護者を失う。ほかの市民とともに捕虜としてモンゴルへ連れ去られたシタラは、見知らぬ土地で新たな暮らしを強いられることになる。知識を積み重ねてきた少女が、征服者の帝国の只中でどう生きていくのか、その歩みが描かれる。
見どころ・印象的なポイント
征服下に置かれた人々の視点で描かれる歴史
本作はモンゴル帝国側ではなく、その侵攻を受けた側の街トゥースに生きるシタラの視点から物語が始まる。学問を学んで育った少女が、故郷を追われ捕虜となる過程を通じて、拡大を続ける帝国の存在がどのように人々の日常を変えていくのかが描かれる。
知識を糧に環境の変化へ立ち向かうシタラ
シタラは学者の家で身につけた学問への姿勢を、住み慣れた土地を失い捕虜となったあとも手放さない。力や武力ではなく知識を拠りどころにする主人公という設定が、征服と戦乱を描く物語のなかで独自の視点を作り出している。
山田尚子が総監督を務める映像表現
アニメーション制作はサイエンスSARUが手掛け、山田尚子が総監督を務める。監督はAbel Gongoraである。13世紀のユーラシア大陸を舞台にした広大な世界観を、どのような映像で描き出すかも見どころのひとつになっている。